夜明けまで眠らない
大沢 在昌[著]/双葉社
午後十時、久我晋は電話で予約のあった客を乗せた。客が喋ったフランス語に以前にもこの客を乗せたことを思い出した。久我は自衛隊に入隊したことから兵隊に興味を持ちフランス外人部隊から民間軍事会社でアフリカの内戦著しい国で任務に付いていたが怪我が素で引退し日本に帰りタクシー運転手をしていた。アフリカでの任務が元で夜暗い中では眠ることができなくなっていた。この客がタクシーに携帯電話の忘れ物をして行った。日本では出回っていない機種だった。一時間ほどして携帯を回収する旨の電話が入るがそれが本にではないと感じ返却を拒んだ。連絡をよこしたのは暴力団関係者だった。久我の元に客の恋人だと名乗る女性から連絡が入った。客は久我に敬意を抱く民間軍事会社に務める男だった。恋人の話ではすでに生きてはいないだろうということだった。久我は昔民間軍事会社で一緒で日本で開業している医師のフランス人に協力を求めた。ロックを解いた携帯の情報から関係者に接触する。一時的に内戦が治ったアフリカの国には闇夜て音もなく忍び寄ってくる暗殺テロ集団が恐れられていたがその一派も現政権に取り込んでいた。タクシーの客が首のない死体で見つかり警察が捜査し久我にも接触してくる。事件はメキシコの麻薬組織と麻薬を加工する暗殺テロ集団と暴力団、それに業務の継続を望む民間軍事会社の自作自演の爆弾テロに行き当たる。凶悪犯罪の無い日本の警察では太刀打ちできないと昔の仲間の協力を仰ぎ対決する。暗殺テロ集団の指揮者は個人的に久我に恨みを抱いていた。