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微生物から電気をおこせ! “発電菌”研究最前線

NHK教育 サイエンスZERO  平成28年4月 24日 放送
専門家ゲスト 渡邊 一哉 (東京薬科大学教授)

 微生物が電気を起こす。電気を生み出す微生物がいる<発電菌>。今、微生物燃料電池の研究が世界中でエネルギーの救世主を目指し進められている。発電利用だけではなく省エネ効果への応用も期待している。アメリカ・中国などを中心に研究が進められ携帯の充電利用の研究も進められている。日本でも国でおよそ9億円の開発プロジェクトが進んでいる。今年四月から電力自由化が始まり再生可能エネルギーの利用が進み「太陽光」「地熱」「風力」などを含み約50億kwhの電力が生み出されており、発電菌はこれ以上の電力を生み出すのではないかと期待されている。
 東京薬科大学、生物化学部の渡邊 一哉教授。2004年から研究を重ねている。「ジオバクター」という菌がいるが新エネルギーとしての期待が出てくるのではないかと思っている。ジオバクター菌、大きさはおよそ1000分の2ミリ。ジオバクター菌が多く生息しているのは田んぼの中。2007年から田んぼで発電実験をしている。実験設備の電圧計には約0.4ボルト。稲が光合成によって作った有機物の一部が根から出てくる、その有機物を微生物が食べて電気に変える。マイナスの電極を田んぼの土の中にプラスの電極を水の中に置く。稲が太陽光を浴びて光合成を行うと根から酢酸などの有機物が出てくる土の中の微生物が有機物を餌として取り込み有機物を分解する際に体の外に電子を放出する。この電子をマイナス極に回収する。マイナス極とプラス極で回路を形成すると電流が流れるという仕組みです。1平方メートルあたりの発電量は約50mW、携帯音楽プレーヤーを動かせるぐらいの電力を得られる。机の上のデモ用の瓶の中には発電菌が500億匹も入っている、回路を繋ぎ発光ダイオードを点滅させた。発電菌が発見され研究を進めるうちに意外と多く存在し田んぼの中にもいるため田んぼ発電の研究を始めた。発電量は有機物の量で変化し田んぼ発電でも光合成を活発に行っている日中は発電量が多くなり夜間は発電量が少なくなる。最初「シュワネラ菌」というのが初めて発見された発電菌で1980年代にアメリカ・ニューヨークのそばの湖の底から発見された。その当時は発電菌ではなく金属に電子を渡す菌として紹介された。この菌を発電装置に組み込んで発電できるんだと認識したのが2000年頃。人間を含む生物は生きるために食料を食べてエネルギーを生み出している、その過程で電子が発生し、その電子を体の外に排出するサイクルを持っている。人間など酸素を取り込む生物は電子と酸素を反応させ水に変えて放出している。発電菌か発見されたニューヨーク州のオナイダ湖、酸素がほとんどない湖底、そこではどのようにして電子を体の外に排出しているのか?。発電菌は体の外に電子を排出する独自の経路を持っている。細胞膜に電子を過す特殊なタンパク質があり細胞の中から外に電子を移動させることができる。体の中でできた電子を外の金属などにそのまま放出することができる。シュワネラ菌が発電菌の代表であるがジオバクター菌だとか、だいたい20種ぐらいのが発電菌であるとして詳しく調べられている。人間などは酸素を使って電子を放出しているが発電菌は周りの金属などに直接放出している。原始には酸素のない世界だったから色々な代謝能力を身につけるあいだに獲得した能力が細胞の外に電子を放出するということではなかったかと考える。これらの研究から「微生物燃料電池」の開発が進められている。微生物に燃料を与えながら発電する装置。シュワネラ菌が燃料とする乳酸を装置に入れるとシュワネラ菌は乳酸を分解するして電子を出す。電子を出すのがマイナス極のグラファイト、グラファイトの外に白いモヤモヤが付いている。このモヤモヤが実際に発電しているシュワネラ菌、マイナス極でシュワネラ菌が電子を出すと回路を伝わってプラス極では酸素と電子が反応して水ができる、全体的に化学反応が成り立っている。発電菌によって発電量は違うが大きく違うのは発電菌ごとに好みのエサが違う、シュワネラ菌は乳酸をすごく好んで食べ、ジオバクター菌は酢酸を好んで食べている。シュワネラは乳酸を食べ酢酸を作る、すると酢酸を食べるジオバクター菌を混ぜると発電量が上がる。
 微生物燃料電池の問題点
 微生物燃料電池にはある問題があった。発電菌に有機物を与えれは発電量は増えるが時間が経過すると有機物を増やしても発電菌を増やしても発電量が増えなくなる。原因は電極に付く発電菌の数が限られるから。せっかく発電しても電極から離れた発電菌の電子は回収することができない。渡邊教授は発電菌の生態を一から見直すことにした。シュワネラ菌が発見された湖の底には鉄が多く含まれている。シュワネラ菌の生息環境に近づけ微生物燃料電池に鉄を加えてみた、その結果発電量が5~10倍に増えた。これは鉄の粒子が電子の通り道となって離れた電極まで電子を運んでいると考えられる、さらに電極の素材や形に工夫を加え発電量は研究開始に比べ約50倍に増えた。100mlの装置で200m~300mWぐらいの発電量で1㎥の装置を作ったとして24時間稼働させると50kwhぐらいの発電量が得られる、一軒一日の電力量が10kwhぐらいなので単純計算で5軒分の発電量が得られる。ただしまだ乳酸を連続して供給するなど乳酸の値段も高いため経済的に成り立つまでには至っていない。ただ今直ぐ利用することが可能ではないかと期待されている場所がある。そこは下水処理場。生活排水には有機物が多く含まれておりその有機物を利用できれはと発電が出来るということになる。
 発電菌を使った 画期的な排水処理
 神奈川県 港北水再生センター。下水処理場で大幅な省エネに期待されている。まずは一般的な排水処理場はタンクに常に空気の泡を送り込んでいる、微生物の力で下水処理をしているが微生物に呼吸をさせるために送風機で空気を送り込んでいる。現在世界で最も普及している排水処理は微生物を利用した活性汚泥法が使われている。排水には汚れの元となる有機物か入っているそれを微生物に分解させることで水を綺麗にしている。この時微生物は酸素を取り込み有機物を二酸化炭素と水に分解する。そのため微生物が効率的に分解するためにはタンクに大量の酸素を送る必要がある。酸素を送り込むポンプは非常にエネルギーを使う装置で電力を少しでも削減して省エネ型の処理法が待たれている。下水処理場の消費電力の約40%が送風機に使用されている。今までの微生物の代わりに発電菌を使用すると発電菌は酸素を必要としないためタンクに酸素を送る必要がない、また分解の最中に電気を起こし発電までしてしまう。発電した電力はポンプなどの電力として利用することができる。新エネルギー・産業技術総合開発機構では2012年から大学などの研究機関が企業と連携して研究が進められ省エネが検証されている。環境部の永渕弘人氏は活性汚泥法とほぼ同等の処理能力が観測され電力消費で考えると8割削減を超えるデータが得られて、期待以上の成果が得られている。ちなみに下水処理場で使用される電力は年間70億kwh、国内で消費される電力の約0.7%に当たる。排水処理は工場でも行われておりここでも活性汚泥法が使われているので、それを含めると1%から数%の電力が産業排水も含めた廃水処理使われていると言われている。酸素を使わない微生物の廃水処理の利用状況は?酸素以外の物を供給しなければならないため結局コストがかかってしまう。電気はそのまま利用できるので微生物燃料電池が期待されている。下水処理と発電で一石二鳥で、数年後に実用化ができるのではないかと言われている。
 さらに!発電菌を使って 枯渇資源を回収
 化学肥料として広く使われているリンであるがほとんどが輸入に頼っている。岐阜大学では発電菌を使ってリンを回収することに成功している。岐阜大学 流域圏科学研究センターの廣岡佳弥子 准教授。養豚場の豚の尿や糞の廃水を微生物燃料電池で発電を行うとプラス極に粉のようなものが付着した、これがリンを含む「リン酸マクネシウムアンモニウム」。養豚廃水にはマグネシウムやアンモニアやリンが大量に含まれている。発電菌が発電を始めるとマイナス極周辺は酸性にプラス極周辺はアルカリ性になることが知られている。リン酸マグネシウムアンモニウムはアルカリ性で結晶化する性質があるためプラス極に出できた。廣岡氏は新しいことを自分たちが発見できたことが信じられないこともあって、本当に自分たちが見つけたんだというのがものすごく嬉しかった。と語る。微生物燃料電池によってエネルギー問題と資源問題の両方が解決できると期待されている。廃水処理に発電してリンまで回収できれば一石三鳥の話である。岐阜大学の研究は実際の養豚廃水を使用していたためリンなどの含有量が高く電極で回収できで非常に期待が持てる研究になっている。微生物燃料電池は太陽光や風力に比べどういうメリットがあるか?。微生物燃料電池の特徴は廃水であるとか廃棄物をエネルギーに変えることができうまく回収できれば一定の発電量は得られあまり気候に影響されない、国土が狭い日本の割には人口が多く廃棄物もたくさん出るので廃棄物のバイオマスの価値が結構高いそういうところでは微生物燃料電池は魅力ある新エネルギーと考えている。家庭で直接エネルギーの回収はエネルギーが少なく実用は難しいがマンションや集合住宅で各家庭の生ゴミを集めて外灯や玄関の電気に利用はあり得ると思われる。田んぼなどで生息し培養されている微生物はまだまだわずかで研究が進めはまだまだ多くの有用な微生物を発見できと思われる。
 
  参考資料

 NHKサイエンスZERO

 東京薬科大学 

 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

 岐阜大学


by a2k_turedure | 2016-04-29 11:21 | 徒然なるままにサイエンスZERO | Trackback | Comments(0)
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このブログは自分の気になったこと等を、徒然なるままにアップしていきますので、お暇な方は付き合ってやってください。


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